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すぐに役立つ介護の情報基礎情報

排泄障害の種類

排泄とは

私たち人間は、口から水や食物を取り入れ、体内で消化吸収、代謝、呼吸、血液循環などを行って生命を維持しています。その結果、体で不要になった水分や老廃物を尿として出したり、あるいは食物のカスなどを大便として出しています。これを排泄と言います。

排泄障害とは、尿や便がうまく出せなかったり、あるいは漏れてしまうなどの状態を意味します。

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問題なく「排泄」ができるとは?

排泄は、以下に示すような意識や動作の組み合わせによって行われます。この中の一つでもうまくできないと排泄に問題が生じるわけです。

  1. 尿意や便意を感じる。
  2. トイレまで行き、ドアを開閉する。
  3. トイレや便器が認識できる。
  4. 衣類(下着)をおろす。
  5. 便器を整え、上手に便器を使う。
  6. 排尿、排便をする。
  7. おしりを拭いたり、トイレの水を流すという後始末ができる。
  8. 衣服を着る。
  9. ベッドや部屋に戻る。

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正常な排便とは

回数
1日1回が理想。1日2回も可。1日排便がなくても、最低でも3日に1度は必要。
大人であれば100g~150gくらい。
棒状で有形。水っぽいものは注意。
茶褐色や黄土色。白っぽい便、あるいは黒っぽい便が続くようであれば注意。
臭い
食べ物の影響もあるが、もし血液が腐ったような悪臭があれば注意。
出方
便意を感じてから多少のいきみでスムーズに出せる。
その他
固い便であれば多少肛門周囲が一時的に痛むこともある。常時出血を伴うようだと注意。便意は、ある程度我慢することも大切だが、我慢し続けると感じなくなってしまう。便意を我慢することを続けていると、便意がはっきり認識できなくなるので、なるべく我慢せずに出すことが大切である。

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排尿のしくみ(男性と女性)

尿は、腎臓で作られ、尿管を通り、膀胱に溜められて、尿道から体外に排出されます。普通われわれは、膀胱に約150~200mlの尿が溜まると尿意を感じます。ですが、それほど強い尿意ではなく、我慢できます。これが300~400mlも溜まると尿意が強くなり、我慢できなくなりトイレに行きたくなります。我慢している間、膀胱が伸びて、尿道はしまった状態です。排尿の準備が整ったところで、それまで我慢を命じていた大脳からの指示が排尿へと切り替わり、尿が出てくるわけです。この時には、膀胱が縮み、尿道は開いています。尿が出てしまい、膀胱が空になったところで、膀胱は縮むのをやめて、尿道は閉まり、再び尿を溜める状態に戻ります。

男性の尿道は長く、膀胱の出口に前立腺があります。高齢になって前立腺が肥大すると尿が出にくくなります。逆に、女性の尿道は短いので漏れやすい構造です。

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排尿障害とは

排尿障害とは、尿を溜めたり、出すことに問題があることです。
排尿障害には、次のような症状があります。

尿失禁
尿が我慢できなかったり、知らないうちに出てしまうこと。
排尿困難
尿が出にくい状態です。1回の排尿に50秒以上かかる。途中で止まってしまう。力んで排尿する。まだ尿が残っている。これらの状態が排尿困難にあたります。
頻尿
一般的に「オシッコが近い」と呼ばれる状態です。排尿の回数が日中10回以上、夜間3回以上あれば、頻尿と言います。

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排便障害とは

排便の障害とは、便秘、下痢、便が漏れてしまう便失禁などのことです。

下痢
下痢は便の水分が多くなり、便の形が有形でなくなり、水っぽい状態です。
便秘
便が固く、出すのに苦労したり、何日も出ないといった状態です。
たとえ毎日出ていても、うさぎの糞のように固く、水分の少ない便は便秘と言えます。逆に、数日間出なくても、出てきた便が有形で、柔らかくスムーズであれば便秘ではありません。
便失禁
便が我慢できずに漏れたり、あるいは知らないうちに出てしまうことです。原因によって便失禁の症状が異なります。

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尿失禁の症状

「尿失禁」とは、自分の意志に反して、あるいは知らないうちに尿が漏れてしまうことです。

  1. 腹圧性尿失禁

    咳やくしゃみなどの際に、尿が漏れる状態です。咳やくしゃみで腹部に力がかかった時、尿の出口にある尿道をしめる筋肉が弱くなるために起こります。

  2. 切迫性尿失禁

    強い尿意を感じて我慢できずに漏れてしまう状態です。膀胱に少ししか尿がたまっていなくても、膀胱が勝手に縮んで漏れてしまいます。

  3. 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

    尿が出にくいのに、漏れてしまう状態です。膀胱に残った尿(残尿)が少しつづ溢れて漏れてしまいます。

  4. 機能性尿失禁

    排泄に関係する判断や動作がうまくできない状態です。トイレがわからない、あるいは歩けないためにトイレで行けずに、漏らしてしまいます。

※(1)~(4)のタイプが重なっている場合もあります。

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便失禁の症状

  1. 腹圧性便失禁

    腹部に腹圧がかかった時に便が出てしまう症状です。肛門をしめる筋肉が弱かったり、肛門をしめる神経が損傷されていたりするとおこります。

  2. 切迫性便失禁

    下痢など急激に便意を感じたとき、我慢できずに漏れてしまう症状です。腸が過敏になっている場合などにおこります。このように、便が我慢できずに出てしまったり、知らないうちに漏れてしまう状態を便失禁と言います。

  3. 溢流性便失禁

    便秘の症状があり、たくさんたまった状態の時に便が溢れ出てくる失禁です。

  4. 機能性便失禁

    トイレの場所がわからなかったり、トイレまで歩けないために漏れるなど、排便に関する判断や動作ができないために漏れる症状です。

※(1)~(4)のタイプが重なっている場合もあります。

コンチネンスジャパン株式会社 専務取締役
NPO法人日本コンチネンス協会 名誉会長
西村かおる先生監修

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